リニア同期モータ(Linear Synchronous Motor:LSM)の過渡現象を考慮した解析プログラムについては、下記に示すように、当初の研究計画の大部分を達成した。すなわち、 1.電気的現象を検討する基礎として、電流の流れる各コイルの磁束鎖交関係を定量的に記述するための静磁界解析プログラムを完成。 2.上記の静磁界解析プログラムに磁気エネルギー計算ルーチンを付加し必要とされる可動子位置に対して、各コイルの自己・相互インタクタンスを行列の形で出力できるようにし、 3.回路方程式を電流源駆動時について計算できるようにした。 そして、実機の例について、上記の一連の計算を実行し、いくつかの理論的考察を加えた。ただし、検討の途中でメーカの技術者などとの議論を通じ、リニア同期モータの駆動は基本的に電流ベースで考えるべきことが明確になったので、電圧源駆動時の求解プログラムは作成しなかった。 垂直輸送システム(自走式エレベータ)の運用・システム面から、輸送力の増強に関する考察を行い、分岐装置の重要性が示された。そこで二次元の縦型LSMについて考察、新たな方式を提唱した。その原理を実証するための簡単なモデル機を試作した。本格的な測定系や電源の準備は、今後の課題として残されたが、実証機そのものの製作については当初の計画よりも迅速に作業を進めることができた。
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