レーザ光生成プラズマの拡散過程に対するレーザ光の影響を抽出するために、拡散解析用レーザ装置を導入するべく、研究実施計画に沿って既設炭素ガスレーザ装置の改造を試みた。改造レーザ装置は、単独運転では問題ないが、発振のジッタが大きく、プラズマ生成用レーザ装置との同期をとることが困難であった。解析に必要な同一条件でのショット例を十分に確保することができず、プラズマの拡散とレーザ光そのものとの間で有意な相関関係を把握するには至っていない。ジッタの軽減のためには、電源へサイラトロンを導入する等の対策が必要である。 この課題の実験では、プラズマの拡散を評価するに際して、高速度カメラを用いてプラズマの発光の空間分布を記録して、データを解析するという手順を経てきた。この手法では、データ解析に時間がかかり、効率的な実験が困難であった。そこで、あくまでも定性的な変化の目安としてではあるが、レーザ光生成プラズマに弱電界を印加して、その電界印加回路に誘起される電流や電荷の変化を捕らえる方法を試みた。電流波形は複雑な変化をするために、拡散との対応が容易ではないが、その時間積分量である、電荷量を測定すれば、定性的な変化を捕らえることができることがわかった。ただし、拡散過程との対応を把握するためには、理論的な考察が不可欠であり、またショット間のばらつきが大きく、変化を確認するには10ショット程度のデータを確保する必要がある。この手法では、オシロスコープの波形からデータを直読するため、この程度のショット数の増大は問題とならない。 今後、レーザ発振のジッタの軽減を図り、弱電界印加に対する応答信号と拡散過程との関係を把握したうえで、データを充実させるべく、実験を継続する予定である。
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