本研究の最終目的は、デジタルシグナルプロセッサ(以下、DSP)を用いて、フライホイール付き誘導機の電力制御、コンバータ制御、インバータ制御を行い、DSPを用いた前デジタル制御方式による単相200V、5kVAタイプフライホイール式無停電電源装置を開発することである。本年度の開発計画は、DSPを用いてコンバータおよびインバータの電力変換器を高速高精度に制御することである。 コンバータ及びインバータのDSP制御においては、その実用的な応答速度が速く、DSPにおける各値サンプリング周波数を32kHzに設定した高速入出力インターフェイスを製作した。 コンバータは、電源電圧変動時にも安定した高品質出力電力を供給するため、昇圧動作を利用したDC電圧一定制御を行うとともに瞬時値比較方式による電流追従制御方式を併用することとした。これにより、電源力率99%以上、DC電圧変動率2%以内を達成し、高調波電流の電源系統への流出を抑えることができた。 インバータは、出力電圧の垂下現象を高速に補償するよう、負荷端電圧追従制御方式を開発し、負荷力率85%の整流器負荷においても出力電圧歪み率1.8%以下を実現した。 開発した電力変換器を昨年度開発したDSP制御によるフライホイールエネルギー貯蔵装置と接続し、無停電電源装置としての実験を行った。これより、当初の目的であった短時間電源異常用無停電電源装置として有効であることがわかり、本年度の研究開発計画と計画通り完了した。 今後の計画としては、制御装置の簡素化と装置全体の小型化を目的として、現在3台用いているDSPを1台のみのDSPによって全制御を達成できるよう制御プログラムの開発を行う予定である。
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