研究概要 |
高出力ガラスレーザー増幅器を再構成してレーザー誘雷基礎実験用のガラスレーザー発振器(波長1μm)を構成した。要求されるレーザーの特性は集光点で10^<12>W/cm^2(気体絶縁破壊強度)以上のレーザー強度を得ることであった。1μmの光は現在誘雷用に研究が進んでいる10μmの光より高密度のプラズマを生成することが可能である。 高強度のジャイアントパルスを発生させるために発振器内にQスイッチ用のポッケルスセルを導入した。平行平板ミラーを用いた安定共振器では,この増幅器の利得が6〜8倍と評価されている事から,発振器内の損失(約10%)を考慮し,反射率約20%の出力ミラーが最適であると見積もった。実際に構成した結果,出力25J,パルス幅50nsが得られた。しかし,安定共振器では空間的,時間的に多くのモードが発生するために,一点で集光されず十分な強度が得られない事がわかった。 そこで,凹凸面ミラーを用いた不安定共振器を構成した。この場合,レーザー発振に寄与するのは媒質を通る中心部の光のみであるため,空間モードは制限され単一モードとなる、出力されたレーザー光の近視野像は,中心部のないド-ナッツ状の空間強度となるが,レンズによって集光された遠視野像では近似ガウス型の空間強度が得られる。不安定共振器の場合,出力エネルギーを決定するのは凹凸面ミラーの曲率半径と共振器長である。凹面鏡の曲率半径は共振器長の約4倍,凸面鏡の半径は凹面鏡と共焦点で,出力ビームの面積に対してその占有面積が約20%になるように決定した。この結果,出力25J,パルス幅50nsと安定共振器の場合と同等のエネルギーが得られた。また,Fナンバー56のレンズで集光した結果,最長3cmのプラズマチャンネルが生成された。しかも,この生成プラズマはCO_2レーザーの場合とは異り,連続プラズマであることを確認した。
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