研究概要 |
(Co_<92.5-X>Ni_XCr_<7.5>)_<100-Y>Pt_Y(X=10〜40,Y=0〜15)を磁性層として作製した薄膜媒体の、結晶磁気異方性、交換定数および粒間相互作用について検討し、ナノスピンクラスターを利用した超高密度磁気記録媒体の実現に関する基礎物性的な検討を行なった。その結果、X=25〜30at%程度のNi組成域においてY=9at%程度までPt量を増加させることで、結晶磁気異方性は2倍程度増加し、粒間の交換相互作用は1/2程度まで低減することが、回転ヒステリシス損失およびΔMプロットの測定より明らかとなった。特にPtの添加による交換相互作用の低下は真性的な交換定数の低下に主に起因しており、本材料系を用いた場合には、9at%以上のPtを添加した組成域がナノスピンクラスターの形成に適していることが明らかとなった。スピンクラスターの大きさについて磁気的に評価するため、本材料系を始めとする各種のCo基薄膜媒体について、薄膜磁気ヘッドを用いたDC erased noise量の計測を行なった。その結果、結晶粒間の交換相互作用の低減にともないDC erased noiseの極大値が低減し、スピンクラスターの大きさが小さくなっていることが明らかとなった。しかし、CoNiCrPt材料系を用いた場合には、Ptの添加により交換相互作用が低下するものの、結晶粒の磁化容易軸(c軸)が膜面内から膜法線方向へと徐々に変化してしまい、膜面内の磁化機構が変化してしまうことが明らかとなった。本材料系を用いたナノスピンクラスターの安定形成には、c軸を膜面に平行に配向させ、さらに、結晶粒径を低減することが、今度の課題となることを明らかにした。
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