本研究では、超高速ランプ電圧応答により電力ケーブルの絶縁材料であるポリエチレンの絶縁破壊付近までの高電界極短時間(商用周波数領域)電気伝導特性の解明を試みた。以下に研究実績の概要を示す。 1.電力ケーブルの絶縁材料として用いられるポリエチレンフィルム試料の絶縁破壊電界付近までの交流および直流印加時に試料を流れる損失電流の観測を可能にするための損失電流計測システムを新たに開発した。このシステムの主な仕様は、(1)2チャンネル、16bitA/D、サンプリング周波数:85kHz、(2)1チャンネル、12bitD/A、サンプリング周波数100kHz、(3)コンピュータとの接続により、直接、データのFFT処理、微分、積分等の演算処理および波形データの記録ができる、等である。 2.上記システムを利用することにより、直流高電圧を試料に印加した際の損失電流の算出・評価するプログラムを開発した。 3.交流絶縁破壊に至るまでの広範な領域での電子線照射架橋ポリエチレンフィルムおよび酸化ポリプロピレンフィルムの直流電圧重畳時の電気伝導特性を観測し、高電界誘電特性に対する新たな知見を得た。それらの成果については、本報告の論文に記す。
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