研究概要 |
原子層成長(ALE)を用いた低次元量子構造作製プロセス開発を目的としてALE選択成長機構解明に重点を置き,ALE技術の潜在能力を引き出し新たなプロセス技術を開発した。更にALE選択成長により作製した微細量子構造の基礎的な光物性評価を行い明確な一次元閉じ込め効果を観測した。本年度の成果は以下のとおりである。 (1)成長モード切り替え技術の開発、極微細領域中の局財ALE成長の機構解明 ALEにおける面方位選択成長機構を解明した。この結果、成長シーケンスによりALE成長中の表面反応の選択的な制御が可能であることを見出し、ALE成長モード切り替え(isotropic〈-〉anisotropic)技術を確立した。さらに低次元量子構造を作製するうえで重要となる極微細領域における成長速度の変動についても検討を行った。そしてALEの特徴である自己停止機構によりナノメートルエリアにおいても異常成長がなく原子層制御可能な局在ALE成長が可能であることを示した。 ALE成長モード切り替え技術を用いた低次元量子構造作製プロセスの開発 上記の結果をもとに、さらに赤外光照射効果によるALE成長中における炭素原子混入の低減化を組み見合わせて、構造及び組成の原子層制御が可能である低次元量子構造作製プロセスを開発し、矩形量子細線の作製に成功した。 (3)低次元構造における量子サイズ効果の観測、解析 ALE選択成長により作製した矩形量子細線からのフォトルミネッセンス(PL)発光を観測し、そのPLスペクトル及び偏光依存性(光学的異方性)から一次元閉じ込め効果を観測した。また、量子細線構造特有の価電子帯における電子状態の観測に成功した。
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