本研究は、光通信・計測に大きな役割を持つ半導体レーザの雑音を低減するため、レーザ光の雑音発生メカニズムを解明するための基礎研究として、P-N接合デバイスの低周波雑音特性について行った。 まず、P-N接合デバイスの低周波雑音を測定するシステムを構成した。測定は、P-N接合ダイオード、バイポーラトランジスタ、レーザダイオードについて周波数依存性、電流依存性などを測定した。測定デバイスは基本的にP-N接合を持つもので、周波数特性としては1/fスペクトルを示すものが多い。電流依存性はP-N接合に流れる電流に対して雑音が比例して増加する傾向がみられた。これはP-N接合領域における拡散によるものと考えられている。また、半導体レーザの光出力雑音とレーザダイオードの雑音との相関性を調べた結果、かなり高い相関を持つことが分かった。この相関性を持つことを利用して、レーザ光の雑音低減について試みた。レーザ光をフォトダイオードで検出し、その光ゆらぎをレーザダイオードに帰還することによってレーザ光の雑音を低減することができる。また、シングルモードレーザダイオードに帰還をかける時、適切な領域まではシングルモードを保持し、それを越えるとマルチモードに変わることが分かった。これは光通信において非常に重要なことで、更に最適帰還量を調べる必要がある。また、これからの課題としては、P-N接合デバイスにおける1/f雑音の拡散による依存性について計算機シミュレーションを行い、より低雑音のデバイスが得られることを期待する。
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