本研究では、フェライト基板上マイクロストリップアンテナの特性解析を行うことを目的としている。解析手法としてモーメント法とFD-TD法を用いる。アンテナ構造が簡単な系に対しではモーメント法で解析することが可能であるが、構造が複雑になると従来のモーメント法では解析が困難になり、FD-TD法のような汎用的3次元解析手法が有効となってくる。また、本研究ではFD-TD解析CADの開発も目的としていた。CAD化は今や設計技術においてなくてはならない手段となってきているからである。本年度はフェライト基板上マイクロストリップアンテナの特性解析に関する研究発表とFD-TD解析CADの開発に関する4件の発表を行った。まず、外部磁場の印加により左旋偏波と右旋偏波の特性が異なることを確認した。次に、CAD化を目指した。CAD化においては現在簡単な系についてはモデリングが可能となっているが、より実学に必要な複雑な系については現在開発中である。 今後は、FD-TD解析プログラムのCADの完成と、それを用いて印加磁場の方向や大きさを変え、本アンテナの具体的な特性解析を行う予定である。また、数値解析においてはソルバーのみならずプリプロセッサーおよびポストプロセッサーの部分も非常に重要であり、コンピュータグラフィックスに関する国際会議に発表したことを基礎に、更にエンジニアに使い易いCADを目指したい。
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