研究概要 |
本研究では,移動通信におけるフェージング対策として,局部発振周波数オフセット受信ダイバーシチを16スターQAM(Quadrature Amplitude Modulation)に適用した。16スターQAMに適用した本ダイバーシチ受信機においては,各受信ブランチで,局部発振周波数をシンボルレートの1/2の整数倍の周波数量だけ互いに逆方向にオフセットし,これによって得られたIF(Intermediate Frequency)信号を単純な可算で合成する。合成信号の復調は,振幅情報ビット(1シンボル4ビットの内の1ビット,2DASK変調)に対しては振幅比検波によって,位相情報ビット(1シンボル4ビットの内の3ビット,8DPSK変調)に対しては遅延検波によって行われる。このような構成におけるダイバーシチの特性を解析した結果,本ダイバーシチを適用することにより,振幅情報ビットに対しては検波前最大化合成ダイバーシチより3dB少ないSNR(Signal-to-Noise Power Ratio),位相情報ビットに対しては検波後等利得合成ダイバーシチと同等な効果が得られることがわかった。さらに,計算機シミュレーションでは,平均BER(Bit Error Rate)=10^<-2>において約6.5dBのダイバーシチ利得が確認された。また,平均BER=10^<-2>を得るために必要な信号電力対同一チャネル干渉電力比も約6.3dB減少できることが確認された。これらにより,局部発振周波数オフセット受信ダイバーシチの16スターQAMへの適用効果が明らかにされ,その適用は16スターQAMの特性の改善に有効であることがわかった。
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