本研究は、次世代パーソナル通信において要請される通信メディア・通信モードの多様化に対応すべく、高機能なマルチメディア移動通信ネットワークの基盤技術を確立することを目的としている。これに向けて、以下の項目について検討を行った。 1.次世代パーソナル通信のビジョンと移動通信のマルチメディア化の課題に関する検討 次世代パーソナル通信においては、高機能なマルチメディア移動通信ネットワークを構築することが求められる。このような観点から、マルチメディア化、大容量化、種々の伝搬環境への適応化に向けた基盤技術の整理・検討を行った。なかでも、最重要技術となりうるメディアアクセス制御(MAC)プロトコルに関して重点的に多面的な検討を進め、予約処理を導入した時分割型パケットアクセス方式の開発を進めた。あわせて、パーソナル通信の一形態として、移動通信技術とナビゲーション技術の融合に関しても検討を進めた。 2.移動通信に適した映像の構造的記述方式に関する検討 加工・処理・編集を施せるような映像情報の記述方式として、映像の構造的性質に着目した2次元/3次元構造記述モデルを導いた。これに基づいて階層的映像記述方式の検討を行い、データの視覚的重要度に応じた可変的情報伝送の可能性を探った。 3.映像の構造的記述を利用する階層的伝送方式に関する検討 2.で検討を進めた映像の階層的記述の無線伝送に向けて、音声のみならず映像、データなどの多様な情報の統合を図る時分割型パケットアクセス法の検討を行った。具体的には、情報スロットとは別に予約スロットを設けて予約を行う手法に関してネットワーク的な視点から理論的検討ならびにシミュレーションに基づく検討を行い、周波数再利用距離、サイトダイバーシティ、タイムスロット割当、スロット構成等に関する知見を得た。
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