研究概要 |
小脳演算モデルの連想記憶能力と学習能力を使って画像データを情報圧縮する方法を示した.具体的な研究成果は次のようにまとめられる. ・符号化アルゴリズムの開発:小脳演算モデルに画像を学習させる際,変動の大きい部分は連想記憶を強く,変動の小さい部分は弱くすることで圧縮符号化を行えることがわかった.従来の動画像に対する圧縮法では,動きベクトルを抽出するために膨大な計算量が必要となり,実用化に向けての大きな問題となっていた.しかし,本手法では,動画像を静止画像の単なる拡張としてとらえることができるので,ハードウェア実現が容易であることがわかった. ・視覚特性を利用した符号化性能の向上:コンピュータで3次元動画像を生成し,画像の形状,時間変動量を変えることで定量的かつ視覚的な符号化特性がどのように変化するかを調べた.その結果,時間方向的に比べ空間方向に対する誤差が視覚的により敏感であることがわかった.このため,空間方向に比べ時間方向に対応する量子化器の量子間隔を粗くすることによって,視覚的な符号化性能が向上することがわかった.また,一般的に画像の中心部ほど興味があるので,画像の中心部に対応する量子化器ほど細かい量子化間隔を持つものを用いた.これにより,より視覚的な符号化性能が向上することがわかった.
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