研究概要 |
ブロック変調符号を一般化連接ブロック符号として捉え(以下,分解可能符号という),その成分符号毎に多段階で,各段では最も距離の短いコセットに復号を行なう多段階復号法(以下,最近コセット復号)について、次の(1),(2)をおこなった. (1)一般化最近コセット復号:最近コセット復号の復号時に用いるコセットの選び方には,(もとの符号より最小距離が短くならないという条件の下において)従来知られていなかった自由度が存在する.本研究では,この意味での一般化の有効性を示すために,コセットを変えたときの復号複雑さと復号誤り確率のトレードオフがどの様になっているかについて明らかにした. (2)一般化最近コセット復号の誤り確率の計算法:和集合上界の考え方を基とし,復号の結合重み分布と多重積分及び組合せ数学の手法を用いて,より精密な上界を得る方法が提案されており,具体的な符号例についてかなり良い上界値が得られている.本研究では,この考え方に基づいた,(1)項で述べた一般化多段階最近コセット復号法の誤り確率の精密な上界値計算法を確立した.実際にいくつかの分解可能ブロック変調符号を加法的白色ガウス雑音の下で用いた時の誤り確率の評価を行い,シミュレーション結果や単純な上界式と比較することによって,導出式の制度や計算容易さを評価・確認した.
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