研究概要 |
今年の具体的な実績は以下の通りである。 1.理論的研究 (1)『連接符号と繰り返し符号の漸近的な能力の比較』:Shannonの通信路符号化定理を陽に証明可能な唯二つの連接符号と繰り返し符号に着目し,復号のために必要な計算量を考慮しながら漸近的距離比を評価尺度として,本質的に連接符号が繰り返し符号よりも優れていることを定量的に明らかにした。 (2)『A Fault Tolerant System Configuration based on Error Correcting Codes』:一つの誤り訂正符号の符号語として符号化されて動作する多重の機能モジュールに対して,情報理論の立場から,ランダム符号化による信頼度関数を用いて理論的に到達可能なシステムの信頼性について解析を行った。 2.応用研究 (1)『Disk Allocation Methods for Cartesian Product Files by Using Error-Correcting Codes』:誤り訂正符号のシンドローム復号法を適用することで,偏った検索に対しても最小の検索回数で目的の情報が得られるディスク配置方法を提案した。 (2)『On Application of IC Card to a Secure Distribution System of Software』:ICカードを用いることで慣用暗号器の共通鍵を容易に作成できる方法を提案し,これによりソフトウェアをネットワーク上で安全に配布するシステムを構築した。さらに,VLSIの故障検出に実用化されているシグネチャ解析を適用し,コンピュータウィルスの検出方法を提案し,ウィルスを見逃す確率を解析した。 (3)『2元巡回符号のバースト誤りに対する重畳による復号法』:受信語と受信語を1ビットシフトした系列とを重畳し,バースト誤りをランダム誤りに変換することにより,従来の復号方法では誤り検出のみに止まっていたバースト誤りを訂正可能とするアルゴリズムを提案した。
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