研究概要 |
移動ロボットにとって、自分の周囲の環境や自分の位置を認識するための外界センサは非常に重要である。特に、対象物までの距離を測定するセンサは、環境の物理的形状を知るために有用である。超音波の往復伝搬時間から距離を計測する超音波センサは、ハードウェアを簡単に構成でき、システムが小型で安価であるという利点を有するため、広く用いられている。 一般の室内環境は、超音波の反射源として平らな壁,凹面のコーナー,凸面のエッジという3つの対象物から構成されていることが多い。この中で、特に凸面のエッジからのエコーは、それが着実に検出されることが切に要望されているにも拘らず、そのエコーは非常に弱く、その振幅がどれくらいであるのかも未だ明確にされてはいない。そこで本研究では、移動ロボット用超音波センサについてエッジからのエコー振幅を調査し、その環境認識能力を明らかにすることを目的とした。 まず、各種対象物に対するエコー信号強度を調査するための計算機シミュレーションの方法について検討した。次に、このシミュレーション方法に沿って、センサで検知されるエコー信号作成のソフトウェアを開発し、移動ロボット用超音波センサのパルスエコー法による測距方法について、その近似モデルの妥当性について検討した。そして、平らな壁だけから構成されているような一般の室内環境を考え、移動ロボット用超音波センサの計算機シミュレーションを行って、エッジからのエコーの振幅を調査した。その結果、エッジ先端の曲率半径、エッジ先端の角度、および超音波の照射方向に対するエッジの向きなどのパラメータとエッジからのエコー振幅との関係が明らかになり、一般の室内環境における超音波センサの環境認識能力を明確にすることができた。
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