まず、実時間3次相関解析器を構成するために、高周波発振器、振幅変調器、高周波電力増幅器よりなる超音波振動子駆動回路、および光学ガラスで作った水槽を用い、超音波回折格子が理論通り得られることを確認した。この超音波回折格子にヘリウム・ネオン・レーザ光を入射し、ラマン・ナ-ス回折光のうち3次回折光をピンホールで選択的に取り出すことにより、実時間で3次相関像を観測することができた。ここで得られた結果を以下に示す。 1)高周波発振器に可変容量ダイオートを用い、発振周波数を電圧で制御できる構成とした。これにより、超音波振動子をその共振周波数で駆動でき、回折効率を上げることが可能であることがわかった。 2)ラマン・ナ-ス回折で得られる3次回折光は、強度が非常に弱いため、ピンホールを通ったわずかな0次光およぴ他の回折光、すなわち背景光の影響で、コントラストが低下する。コンピュータに取り込んだ3次相関像から背景光による画像を減算処理することにより、コントラストを改善できることを確認した。 次に、液晶を用いた2次元フーリエ変換光学系を用い、バイスペクトル回折器構成のための予備実験を行った。この結果、以下のことが明らかとなった。 1)当初予想した通り、液晶面内に存在する電極構造を反映した空間スペクトルが観測される。しかし、液晶に入力される3次相関像が高次の空間スペクトルを有していないことを考慮すれば、電極構造による空間スペクトルの影響は無視し得る。 2)液晶に入力される3次相関像によって生成された空間スペクトルの分布はは0次光付近に出現するが、非常に強い0次光にマスクされ、実時間バイスペクトル像の観測を行うことはできなかった。今後、0次光の影響を除去する方法を検討する必要がある。
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