研究概要 |
近年,産業用ロボット,NC工作機等のメカトロニクス機器に対して,学習能力や環境適応能力を持たせる研究が盛んに行われている.これらの研究は,従来,熟練作業者に頼らざるを得なかった高度な作業の自動化を目的としたものであり,ロボットを用いた作業の自律化にとっては欠かせない研究である.本奨励研究では,第一に制御工学の枠組みの中で,ロボットが有する様々なシステム論的性質を考慮にいれて,学習が終了するまでの試行回数ができるだけ少なくなるような学習アルゴリズムの構成法を明らかにし,制御周期が学習の収束性に与える影響について定量的に考察した.そして,その結果をもとに,制御周期内で入力値を切り換える手法を考案し、実際の産業ロボットに対し学習実験を行ったところ,非常に良好な結果が得られた.この成果は,今後学習アルゴリズムを実用化する上で重要な意義を持つと思われる.また,本奨励研究では第二に,ペトリネットを用いた組立作業の表現法を考案し、組立作業計画を行う上で必要な組立・分解作業の難易度を評価する指標を考案した。本研究で考案した評価指標を用いることによって、人間が通常行っている手順に近い組立・分解手順を自動的に生成することが可能となった。この成果は、FAシステムにおける組立ラインの設計等に役立つと思われる。
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