研究概要 |
現在の生産現場で活用されているロボットは教示された動作しかできず,不確実で複雑な作業環境や作業条件の変更には適切に対処できない.一方,生体は複雑な環境においても,神経系の自己組織化によって環境認識から運動制御までの機能を自律的に獲得し,環境に適応した行動を実現できる.Mussa-Ivaldらの生体実験によれば,蛙の神経筋による骨格系の運動制御が幾つかの平衡点を持つ基底場の線形結合で構成されるベクトル場によって行われている.このような生体の高度な運動機能を解明し,人工的に実現するすることを目指して,本研究は,ベクトル場の近似理論を解析し,接触作業ロボットへの応用を試みた.その結果、以下のような成果を得た. 1)基底場の線形結合でサンプルベクトルからベクトル場の近似理論を考察し、接触作業ロボットによる環境モデルのベクトル場表現とその推定問題に拡張した. 2)ロボットの手先に力センサを装備し,未知な環境の何点で接触を行い,得られた接触力ベクトル情報と関節角度情報を統合し,全作業空間の環境に関する接触力のベクトル場を自己組織的に形成する実験を行い、未知環境のモデルを獲得できることを確認した. 3)以上で得られた環境の法線ベクトル場モデルをロボットの位置/力ハイブリッド制御に利用し、未知な剛体環境におけるロボットの接触作業を有効に実行できた.
|