回転機(コンプレッサ)のバルブ異常を音響法により診断することを目的として、これまでに特徴抽出ネットワークと異常識別ネットワークからなるハイブリッド・ニューラルネットワークを提案し、良好な結果を得ている。しかしながら、これまでの検討は主に一台の回転機の一つのバルブしか診断対象としてなかった。そこで、本研究では実用化への見通しを得るために、実際の工場での使用を念頭において複数台の回転機の複数個のバルブ部を一つのマイクロフォンで診断する場合に、提案するネットワークの評価と問題点の抽出及びその改善策の検討を目的としている。 これらのために、実際の工場での使用を模倣した種々の診断パラメータ(バルブ部を構成している弁板やスプリングに加える人工欠陥の種類、マイクロフォンの位置や方向、ノイズの付加、吐出圧の変動、診断対象のバルブなど)のもとで回転機の稼働音を収集した。そして、前処理としてFFT分析を施した周波数スペクトラムを用いて、次のようなシミュレーション実験を行った。 既に提案しているハイブリッド・ネットワークの評価を行うと共に、その問題点の抽出を検討した。問題点として(a)膨大な学習時間。(b)ローカルミニマムでの停留などについての改善策を検討した。その改善策として中間層の活性化関数にガウス関数を持つネットワークを適用した。シミュレーション実験より上記の問題点に対して良好な結果を得た。また、これらの内容を論文投稿した。
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