通常、離散時間でサンプリングされた入出力データから、システムのインパルス応答モデルの同定を行うとき、サンプリング周期を小さく取った場合、あるいは、滑らかな入力しか許されない場合には、同定問題は悪条件となり、最小二乗推定は不安定になりやすい。本研究では、このような場合において、システムの入出力データのサンプル値から連続時間インパルス応答モデルを同定する有効な手法をした。我々は、時間領域で等間隔に配置され、かつ同じ幅のガウシャン基底関数から構成されるGRBFN(Generalized Radial Basis Function Network)を用いて、インパルス応答を近似する。普通、基底関数間の中心距離はサンプリング間隔の数倍となるので、より少ないパラメータでインパルス応答モデルを推定することができる。しかも、GRBFNのパラメータの最小二乗推定値が数値的に安定になりやすく、インパルス応答の平滑な同定が可能となる。現実には、基底関数間の中心距離と基底関数幅をいかに設計するかが問題となるが、本研究はシャノンのサンプリング定理および推定されたインパルス応答のフーリエ変換解析に基づいた方法を提案した。すなわち、ガウシャン基底関数をサンプリング関数とみなして、推定されたCTIRのナイキスト周波数以上の周波数成分のエネルギー(基底関数の間隔を大きく取りすぎることによる繰り返しスペクトルのオーバーラップ、または、基底関数の間隔を密に取りすぎること(悪条件)による高周波振動)が最小となるように基底関数間の中心距離などを選ぶ。提案した手法は、システム信号のサンプリング周期の選定が比較的容易であり、一般にサンプリング周期は十分に小さく取ればよい。なお、提案した手法の有効性はシミュレーションを通して明らかにした。本研究の成果は、論文として、計測自動制御学会論文集に公表しており、査読者から好評を頂いた。
|