寸法、形状、最大骨材寸法を変化させたコンクリート円柱供試体の一軸圧縮試験をひずみ軟化領域に至るまで実施し、その軸方向局所ひずみ分布特性の詳細な検討を行った結果得られた成果の概要は以下の通りである。 1.一軸圧縮応力下のコンクリートには、明らかにある特定長さの破壊領域(ひずみの局所化領域)が存在し、破壊領域の長さは、寸法、形状による影響よりもむしろ最大骨材寸法に大きく依存することが明らかになった。また圧縮破壊領域は、最大応力の80%まで応力が低下した時点を過ぎると、その点以降拡大する傾向はあまり見られず、破壊領域外においてひずみの戻り現象が顕著に現れることが示された。 2.一軸圧縮応力下におけるコンクリートの圧縮破壊領域内の応力-局所ひずみ関係は、最大骨材寸法等の材料特性が同一なら、寸法、形状によらず唯一のものが存在する。また、最大骨材寸法が応力-局所ひずみ関係に及ぼす影響としては、最大骨材寸法が大きくなれば最大応力以降その挙動が脆性的な挙動を示すようになる。 3.圧縮破壊領域内の消費エネルギーの概算値を推定した結果、その値としては約10〜20kgf・cm程度の値であることが分かった。今回は比較的数の少ない実験結果であるので、消費エネルギーを定量的に評価するには至らなかったが、さらに広範囲な実験・検討を破壊領域を明確にし、破壊領域内の挙動を詳細に調べる今回と同様の手順で進めていけば、コンクリートに対する圧縮破壊消費エネルギーを定量的に評価することができると考えられる。
|