本研究では、連続繊維棒材のうち、炭素より線とアラミド異形棒を対象とし、片引供試体を用いた付着クリープ試験を行うことにより、持続引抜荷重下における連続繊維棒材のコンクリートとの付着クリープ性状を、異形鉄筋と比較検討するとともに、これらの棒材を主筋に用いたRCはりの曲げクリープ試験を行うことにより、ひび割れを許容する曲げ部材のたわみやひび割れ等の長期挙動に与える連続繊維棒材のコンクリートとの付着クリープの影響についての検討を行った。得られた主な結論は以下の通りである。 1.付着長64mmの片引試験において持続引抜荷重を与え、付着クリープとして自由端変位の経時変化を測定した結果、φ6mmのアラミド異形棒は、その区間の同じ平均付着応力下で、異形鉄筋D10よりも大きな付着クリープを示した。 2.φ7.5mm炭素より線およびφ6mmアラミド異形棒を主筋に用いたRCはりに対し、片引きクリープ試験と同じ持続引抜荷重が主筋に作用するように持続曲げ荷重を与えた曲げクリープ試験の結果、それらのRCはり部材の長期におけるたわみの増加に与える付着クリープの影響は、異形鉄筋を用いたRCはりと同様、コンクリートの圧縮クリープほどは顕著に現れなかった。 3.片引きクリープ試験、曲げクリープ試験において、炭素より線およびアラミド異形棒の異形鉄筋との付着クリープの差の現れかたに違いが見られたが、その理由として付着長の違いが挙げられる。すなわち、片引試験のように、自由端変位が現れるような状態での付着クリープは、比較的顕著に現れる一方、部材内で局部付着応力が長い付着長にわたって平均化されて小さくなったことにより、部材レベルでは付着クリープの影響が小さくなったものと考えられる。
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