静的空気力を受ける鋼斜張橋における2次オーダーの非弾性不安定現象について定式化および解析を行った。解析は中央径間1000mの斜張橋について、架設系及び完成系双方に対し実施した。非弾性不安定現象解析は次の3項の影響を同時に、直接的に考慮した。 1.非線形変位依存性風荷重 2.座屈および幾何学的非線形性 3.材料塑性 ここで非線形変位依存性風荷重は静的空気力係数の形で迎角の関数として表現される。曲げ座屈、捩れ座屈、曲げ捩れ座屈といった各種の座屈は、幾何剛性マトリクスによって考慮される。材料塑性は集中塑性ヒンジモデルによって適宜表現される。 本研究により得られた結果は次の通りである。 1.長大斜張橋の非弾性不安定性は上記3項の複合した影響による。 2.架設系では完成系より非弾性不安定性は小さい。 3.死荷重および風荷重が作用した状態における非弾性不安定性に関しては、中央径間1000mの長大斜張橋によるケーススタディにおいて、架設系・完成系共、問題となる有害な挙動は生じないことが確認された。
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