研究概要 |
1.本研究は,衛星画像情報と地図情報とのマッピングに,有限要素法を用いた最小自乗近似関数を適用し,衛星画像と地域情報とを細部まで対応させ,さらに,写像関数を形状についてテイラー展開し,任意点における位置確定制度を把握し,マッピング誤差の許容値を設定した上でのリモートセンシングを行うものである。 2.本法および従来のアフィン変換を用いた場合について,位置確定精度,および土地被覆分類モデルの判別精度を比較した。(1)大分市のTM衛星画像データと地図情報を用いて,写像関数を求める際の制約条件となる,交差点や大型構造物等のコントロールポイントの座標値を300点ほど読みとり,対象地域を細かいゾーン(有限要素)に分割した。(3)有限要素法およびアフィン変換により写像関数を求めた。(4)写像関数の偏導関数を求め,各コントロールポイントでの位置確定誤差を従来の手法と比較した。(5)クラスター分析を用いた簡単な土地被覆分類モデルを作成し,判別精度について両者を比較した。 3.本法と従来の方法を比べると,細部での位置確定精度の向上が見られ,有効性が確認できた。なお,本法では,対象地域を要素分割することが不可欠なので,実務では自動分割ルーチンが必要と思われる。また,TM画像の1ドットは実際の数十メートル四方に匹敵するので,土地被覆分類モデルの精度のついては大差は確認できなかった。土地利用の判別精度を比較するには,TMよりは解像度の高い衛星画像を用いる必要があるといえる。 4.本法は,異なる地理情報システムを関連付けることができる点において優れており,例えば,地域メッシュデータが整備された地域での人口・産業統計データ間を関連付ける手法,あるいは,小地域単位での整備が遅れている各種地理情報システムを同時に利用する手法として応用できるものと思われる。
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