プラスチック添加剤による水系汚染現状の把握のため、京都盆地の桂川とその周辺の浅層地下水を対象として調査を行った。プラスチック添加剤の地下水への流入システムを推測する基礎資料を得るために、プラスチック添加剤濃度の季節変動を河川・地下水について調査した。また、地下水中に移行するプラスチック添加剤の源は、人為的影響の大きい地点に多く存在すると考え、プラスチック添加剤の環境中での存在量と、その分布に対する人為的影響について検討した。さらに、プラスチック添加剤の地下水中での濃度変化の原因について検討するため、地下水中の微生物によるプラスチック添加剤の分解に関する実験を行った。そして、次の結論を得た. 1)プラスチック添加剤の季節変動は不規則で、一年を通じて高い濃度で含まれている可能性を示した。さらに、これらの物質の地下水中濃度に対し、降雨量もある程度の関係を持っていると考えられることを示した。また、地下水中のプラスチック添加剤については、河川からの浸透と地表からの浸透の両方から入ってきている可能性があることも示した。 2)土壌表面などから高い濃度のDOP、DBPが地下水に負荷されている可能性を示した。また、都市中心部からの距離とDOP、DBPの抽出濃度の関係から、DOP、DBPはやはり、人為的影響の大きい都市部の環境中において大量に存在すると考えられるが、人為的影響の少ない地域でも広く環境中に分布していることを示した。 3)地下水中の微生物による分解実験を行い。半減期がDBPについては3.3日、DOPについては5.3日程度であることを示した。半減期が比較的短いことと、常に地下水中にDOPなどが存在することから、DOPなどは常に地表から地下水への浸透があるか、原液が地中に浸透し、それが地下水へ溶出している可能性が考えられる。
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