本研究では、飛灰からの超臨界二酸化炭素による有機塩素化合物の抽出除去を目的とした基礎的な実験を行った。今回は安全性の観点からダイオキシン類の前駆物質であるクロロベンゼンをモデル化合物に選び、マトリックスしてシリカゲルにクロロベンゼンを添加したものを固体試料として準備し、抽出実験を行った。抽出条件として温度、圧力、エントレーナーなど抽出に有利な条件を検討し、さらに実際の飛灰への適用も試みた。また対照として同じ飛灰をソックスレ-抽出し、超臨界二酸化炭素による抽出結果と比較した。これらの実験により、次のような知見が得られた。 (1)捕集溶媒としたトルエンにクロロベンゼンを捕集する際、二酸化炭素の気化により曝気状態となるが、それにともなうクロロベンゼンの揮散は認められなかった。 (2)シリカゲルからのクロロベンゼンの回収実験に関しては、圧力が高いほど、温度が低いほど、クロロベンゼンの回収量は多くなる傾向にあり、300atm、50℃、45分のときに最もクロロベンゼンの回収量が多かった。 (3)シリカゲルのような吸着力の弱い固体試料からはクロロベンゼンを抽出できた。しかし飛灰からはまったくクロロベンゼンを抽出できなかった。 (4)今回の実験条件ではエントレーナー添加によるシロロベンゼンの回収量の増加は認められなかった。
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