本研究では、下水処理場および内水排除のための下水道ポンプ、都市河川の洪水防止用の排水機場あるいは水質浄化用の導水ポンプ、港湾運河網、外海と接合する水門ゲートなどのさまざまな施設から構成される都市雨水排除システムにおいて、個々の施設の制御を協調させることで、晴天時の汚濁負荷の堆積を防止するとともに、雨天時の初期汚濁を貯留し、高潮時や洪水時においては、貯留と外海への放流をおこない浸水発生を防ぎ、年間を通して親水空間として利用可能なレベルの水質の保全と洪水被害の発生防止を目標とした制御シナリオの作成と最適化手法と知識ベースを活用した実時間レベルの制御支援手法の開発とその援用方法の検討をおこなった。 下水道施設からの放流水量と汚濁負荷制御や雨天時流出汚濁負荷の制御について各種の代替施策を立案した上で、都市河川および感潮区域の水路の水理現象および水質伝播を表現するためのコンパートメントモデルと状態方程式を用いた評価モデルを用いて水質伝播を予測し、水質改善効果を連続時間ベースで評価した。また、最適制御解にもとづいて制御モデルが作成した意思決定マトリックスの評価をおこなうための小雨時から大雨までの統計確率的なシナリオ構造に基づいたシミュレーションスキームを作成した。 実時間制御の支援をおこなうサブシステムの基本構造を設計し、シナリオの進行にともなうシステムの挙動を実時間で監視しつつ、意思決定マトリックスから現状の状態量のもとでの最適制御ルールを選択し、その効果を実時間で評価するまでの一連のシステムの基本部分を作成した。
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