本研究では、3次元有限要素(FEM)解析プログラムを用いて、高強度鉄筋コンクリート(RC)造立体内柱・梁接合部3体((1)直交梁、床スラブなし平面接合部、(2)直交梁付き立体接合部、(3)床スラブ付き立体接合部)の非線形解析を行った。尚、解析には、申請者の研究室で開発されてきた、3次元非線形FEM解析プログラムを使用し、更に高強度鉄筋コンクリート部材を精度良く解析するために、以下の解析モデルを追加、更新した。 コンクリートの構成則モデル ・圧縮コンクリートの初期剛性 → Fafitis-Sharモデル ・ひび割れたコンクリートの圧縮強度低減モデル → 飯塚、野口モデル 以上の解析結果を用いて、立体内柱・梁接合部の破壊状況、履歴特性、鉄筋ひずみやコンクリート内部応力状況などの解析結果から、実験試験体の検証を行った。前述の3体について、破壊状況、履歴特性、鉄筋ひずみなどは、解析結果が実験と良好な対応を示した。また、接合部に直交梁や床スラブが付くことにより、接合部コンクリートが拘束され、接合部のせん断強度は増大する傾向がみられた。 更に、実験では検討が難しいコンクリート圧縮ストラットの幅や応力状態について、解析から得られる接合部内部のコンクリート応力を用いて検討を行った。今後は、コンクリート圧縮ストラット機構を定量的に把握し、既往のマクロモデルや設計式との対応の検討を行う予定である。 当初計画では、接合部横補強筋量をパラメータとした仮想試験体の解析を行う予定であったが、3次元解析では、試験体1体の解析にかなりの時間を要し、本年度は上記3体の解析しか実施できなかった。具体的には、1体の解析時間が3〜5日ぐらいかかり、更に解析前の入力データの作成、解析結果のデータ整理、視覚・グラフ化、データの検討など、膨大なデータを処理しなければならない。今後、実解析をサポートするような、解析サポートプログラム(自動入力データ作成プログラムやデータ整理プログラム)の充実を図り、解析数の多い仮想試験体のパラメータ解析が行えるように、もっと解析環境を整備していきたいと思う。
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