研究概要 |
本研究の実績は以下のようにまとめることができる。 (1)街区単位の計画の必要性の評価 現行の法規制のもとでは、建築行為は敷地の中で完結している。したがって、街区・地区レベルの住環境などへの配慮は,特別に指定された一部の地域を除いて、一般の市街地においては全く考慮されていない。このことは、本研究の中で行った中野区平和の森公園周辺地区でのデータからも明らかとなり、地区の更新は個別更新の集積に過ぎず、街区やそれを取りまく基盤の整備状況、都市計画的な規制にはほとんど影響されていないことが明らかとなった。 (2)街区のデザインのあり方の考察・スタディ及び現実の市街地との比較・検討 この考察では、ひとつの仮定として「街区内の空地をまとまった形で確保することが住環境の向上につながる」として、まず街区内の建物配置の目標像としての開放型囲み型配置を提案した。この将来目標像と現実の市街地の比較検討を行った結果として、第一に、現行の法規制(特に形態規制)を改正しなければ実現不可能であること,第二に私権(特に土地と建物に関する権利)をかなり強くコントロールする必要があり、そのコンセンサスをとるための理論の構築が必要であることなどの問題点を提起した。 街区の誘導プロセスの検討・シミュレーションも当初の課題(3)としてあげていたが,時間・予算等の関係で最初のステップである条件の整理及び使用ツールの設計の初期段階にとどまっている。今後、モデルの作成やそのシミュレーションによる検討が課題である。
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