小中学校におけるオープンスペースは、児童生徒の主体的学習を促進する具体策として期待が大きいが、直接体験を重視する実習活動を円滑に行い得るか否かは重要課題である。 本研究では実習活動を中心としてオープンスペースの存在が特別教室の使い方や利用率にどのような影響を与えるかの実態を知ろうとするものである。 1978年以来個性化教育の実践を積み重ねているオープンスクール、東浦町立緒川小学校を調査対象とし、1年間学校運営のサイクルの中で16日間について、授業中の児童の活動場所と学習活動内容を記録した。 これらの結果以下のようなことがわかった。1)一斉授業の割合は低学年ほど、反対に調べ学習の割合は高学年ほど高い。実習の比率は学年で差がない。2)各スペースの利用率は、普通教室については低学年ほど高く、特別教室・オープンスペースは中・高学年程高い。3)普通教室では一斉授業が大半を占めるが、全体で10%弱の授業は紙工作などの軽い実習作業が行われている。4)オープンスペースは主に実習と調べ学習が行われるが、床仕上げの違いにより実習内容が異なる。高学年ではラ-ニングセンターでの調べ学習の頻度が高い。5)中・高学年で主に使われている特別教室については、定期的に使われる音楽室・和室を除くと、オープンスペースではできない理科実験・調理実習・木工作などに使われている。 以上よりオープンスペースやそれに隣接する普通教室が従来の特別教室の機能のある部分を担っていると考えられる。またこれに関連して、生涯学習等で需要の高い社会教育施設の活性化の方策を探るため、基礎的研究を行った。
|