人工格子で巨大磁気抵抗効果が見つかっていらい、金属人工格子の研究がさかんに行われるようになった。巨大磁気抵抗効果には磁性層・非磁性層界面の構造が深く関わっている。そこで磁気抵抗効果を制御するには界面の構造を制御する必要がある。従って、界面を評価する手段が、必要である。Coを含む、金属人工格子ではCo核の強磁性核磁気共鳴の強度から界面構造を評価するということが行われてきた。しかしながら、NMR信号強度は、核スピン間の相互作用に帰因するスピンスピン緩和時間に依存するので、単純な強度解析だけでは、原理的に正しくない結果を与える。むしろ、ある核がその周囲に同種核を見出す確率が、本質的に強度に影響する。そこで我々はNMRの基礎にたち返って、内部磁場分布と強度の関係を深く考察するとともに、積極的に緩和時間を界面構造評価に利用する方法論を搏索している。
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