研究概要 |
本研究の目的は酸素ガス中に不純物として存在するアルゴンを完全に除去し高純度酸素を作製することである。酸素とアルゴンの磁性に注目すると、酸素は常磁性体(正の磁化率)、アルゴンは反磁性体(負の磁化率)で、両者の磁気的特性は正反対である。多孔質体に作製した超電導体に磁界をかけて超電導転移温度以下に下げると、マイスナー効果によって磁束線は超電導体からはじき出され,超電導体外周または貫通気孔内を通るようになる。超電導体表面付近、即ち磁界の勾配が大きな位置で酸素とアルゴンに互いに正反対の力が働き、2つのガスを分離する。 平成6年度は多孔質超電導フィルターを作製し、超電導フィルター通過前後の酸素濃度の変化率を磁界強度、温度および通過前の酸素濃度の関数として求め、次に磁界の大きさ及び混合ガスの流速を変化させ、高純度酸素ガスが得られる条件を求めようとした。 多孔質超伝導フィルターを作製し、フィルター通過後の混合ガス中の酸素濃度が通過前に比べて上昇していることを確認したが、磁界を作るコイルの不備で高い磁束密度を得ることが出来なかったこと、多孔質フィルター内の成分元素の分布が一様でない為に十分な分離能力を発揮することは出来なかった。 平成7年度は、多孔質フィルターの製造方法を改良し、超伝導体としての性能を向上させ、さらに酸素ガスとアルゴンガスの高分離を試みるつもりである。
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