研究概要 |
金属表面の酸化膜がスプレー冷却特性に及ぼす影響は,高温金属平板にスプレー流を衝突させて平板の温度履歴を測定するマクロな冷却実験と直径数100ミクロンの単一水滴をライデンフロスト温度以上の高温金属平板に衝突させて,その変形挙動を観察する実験によって調査された. 冷却実験では,酸化被膜の存在によって平板表面の漏れ温度が上昇することが確認された.また,そのときの熱伝達率はこれまでに報告されている水の流量分布の関数で与えられる実験式では十分に整理することができず,そのため液滴径,衝突速度,衝突頻度の関数で与える実験式を提案した. また,液滴実験では,平板面の物性や表面粗度が,衝突後の液滴の変形プロセスに少なからず影響を及ぼすことが明らかになった.液滴を高温平板面に衝突させると,衝突時のウェーバー数が小さい場合は弾性的に反発し,大きい場合は多数の小液滴に分裂する.その臨界ウェーバー数が,表面が粗い場合小さくなることが明らかになった. 以上述べたように,本研究の所期の目的はほぼ達成されたものと考えるが,未解決のまま残された問題も少なくない.したがって,今後ともこの研究を継続していくことが重要と考える.
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