研究概要 |
本研究では,InP_xAs_<(1-x)> 混晶合金およびその構成化合物InPとInAsの機械的混合物の溶融Snへの溶解熱を773Kにおいて,カルベ型の双子型溶解熱量計を用いて測定した。その結果は次のように要約される。 1)双子型溶解熱量計を用いた溶解熱測定により,773KにおけるInP(red)化合物の生成熱は,-74.0±4.4kj/molと決された。また,773Kにおける生成熱より,298.15KにおけるInP(red)化合物,InP(white)化合物の標準生成熱は,それぞれ,-70.2±4.4,-87.7±4.4kj/molと決定された。なお,(red)および(white)は,それぞれリンの標準状態として赤リン,白リンを選んだ場合の値を示す。 2)双子型溶解熱量計を用いた溶解熱測定により,773KにおけるInAs化合物の生成熱は,-62.8±1.0kj/molと決された。また,773Kにおける生成熱より算出された,298.15Kにおける標準生成熱は,-60.0±1.0kj/molと決定された。 3)本研究により導出されたInP-InAs擬2元系の773Kにおける混合熱を表1に掲げる。InP-InAs擬2元系の混合熱は,全組成範囲おいて正の値を示し,吸熱を表す。 4)InP-InAs擬2元系のξ関数は,組成に無関係にほぼ一定の値を示す(ξ=2.2kj/mol)。このことより,InP-InAs擬2元系は,正則溶液で近似できるものと考えられる。
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