研究概要 |
高分子溶液の塗布・乾燥による薄膜製造プロセスにおける残留不純物濃度の低減と不純物除去の促進を図る目的で,多成分溶媒を含む高分子溶液の熱風乾燥に関し実験的研究を行なった.ポリスチレン-エチルベンゼン-トルエン系およびポリスチレン-キシレン-トルエン系モデル溶液の乾燥に対して溶液質量および各成分の平均組成の時間変化を測定した.得られた結果の要約は以下の通り. 1.乾燥速度 初期の乾燥速度はガス境膜内物質移動抵抗に支配され,溶液の呈する蒸気圧が高いほど乾燥速度も高い.しかし揮発成分の表面濃度が平衡値に達すると液膜内の拡散抵抗が乾燥速度を支配するようになる.この期間の乾燥速度と初期組成の間に相関は見られない.従って,初期の蒸気圧が高いほど乾燥所要時間が短いとは限らず,溶媒添加により乾燥時間の短縮化を行なえる可能性がある. 2.乾燥の選択性 初期組成によらず,常に高揮発成分(蒸気圧の高い成分)が選択的に除去される.境膜抵抗支配期間における高揮発成分の選択性は高分子を含まない溶液の蒸発の場合とほぼ一致する.一方内部抵抗支配期間のそれは蒸発の場合よりも低下しており,低揮発成分の残存量が少なくなる傾向にある.これは乾燥の場合液膜内部の溶質拡散による影響が無視できないためであり,乾燥の選択性を予測し不要成分の残存量制御等に応用する際は液膜内の物質移動機構を検討する必要がある. 化学工学会第27回秋季大会(Sep.1994,春日井市)にて発表 Polymer Processing Society 11th Annual Meeting(March 1995,Seoul,KOREA)にて発表
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