研究課題/領域番号 |
06750827
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物・生体工学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 浩 大阪大学, 工学部, 助手 (00226250)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | ファジィ理論 / 代謝反応モデル / 状態認識 / ファジィメンバシップ関数 / 代謝反応モルフラックス / エラーベクトル |
研究概要 |
発酵プロセスにおいては、菌体の増殖活性や副生成物の生成の有無など菌体の生理活性をオンラインでよく認識した上で運転操作を行うことが望ましい。しかし、実際にはオンライン計測できる情報が限られているため、菌体の状態を直接判断することが困難である場合も多い。本研究では、ファジィ理論と代謝反応モデルを利用して、菌体の培養状態をオンラインで認識することおよび代謝反応モルフラックスを計測することを目的とした。 酵母培養系において、元素バランス量論式を基礎にエラーベクトルという概念を新たに考案した。エラーベクトルは菌体が糖の供給に見合って理想的に増殖する場合はほとんどゼロであるが量論式に存在しない物質が生産されるような場合やダイナミクスが変化する場合はゼロから離れて培養状態に特徴的な傾向を示すことが明かとなった。そこで、実験データをエラーベクトルを通して整理し、培養状態の特徴付けを行った。 次に、特徴付けられたエラーベクトルの分布を逆に利用し、増殖状態、およびエタノール生産状態に関する培養状態をオンラインで認識するシステムの構築を試みた。エラーベクトルの基軸に対する頻度分布からファジィメンバシップ関数およびファジィ規則を構築した。新たな実験において構築された認識システムを評価したところ、培養状態は正確に認識されることが確認された。特に、従来数式モデルでは評価することが困難であった増殖とエタノール生産がアンバランスな、菌体にとっては異常な状態を正確に認識できた。 認識された培養状態に応じて菌体内の代謝反応モデルにおける酸化的リン酸化反応の効率を表すパラメータを推定し、菌体内代謝反応モルフラックスを計算した。菌体増殖を表すフラックスはオフラインで計測された菌体増殖データからその精度が検証され、パラメータおよび菌体内代謝反応モルフラックスが正確に推定されたことが示された。
|