20種類のpH指示薬をシリカ粒子を用いて固定化した感応膜を作製し、固定化用シリカ粒子の種類、測定雰囲気中の湿度および被検ガスである各種アミンガスのpK_b値と蒸気圧が、感応膜の応答特性に及ぼす影響を調べた結果、以下の点を明らかにした。(1)担体として各種のシリカゲル[(磨砕状シリカゲル、球状シリカゲル(粒径550、230、120nm)]を用いた感応膜のプロピルアミンガスに対する応答特性とTG分析により吸着水量を調べた結果、回復速度を速く、反射光速度の変化量を大きくするためには、適当量の吸着水を保持する担体(測定した中では120nmの球状シリカゲルが最も適当)の選択が重要であることがわかった。(2)反射光速度の変化量は雰囲気の相対湿度に依存し、湿度が高いほど変化量が増加する。このため相対湿度の制御が必要であることがわかった。(3)各種のpH指示薬を粒径120nmの球状シリカゲル粉末に担持した感応膜の各種被検ガス中での吸収強度の変化を30℃、50%RH雰囲気中で測定した結果、同じ濃度で比較すると、ピリジン(pK_b=8.64)<アンモニア(pK_b=4.70)<プロピルアミン(pK_b=3.42)の順に吸収強度が増加した。PH指示薬によってこのような変化が現れる波長の値は異なったが、同様の現象が20種のPH指示薬全てについて観察され、pK_b値の小さな被検ガスほど、感応膜中のpHが大きく変化し、高感度に検出できた。(4)用いるPH指示薬の変色域が中性に近いほど(例えば、テトラヨードスルホフタレインはpH=6.4〜8.0で黄色から赤紫に変色する)、同じ被検ガスでも高感度に検出できることがわかった。(5)感応膜の回復時間は、被検ガスの蒸気圧が高いほど(アンモニア>プロピルアミン>ピリジン)、短くなる傾向を示した。
|