数種の水溶性有機高分子、あるいは部分的に加水分解を受けた後重縮合するシリカと親和性の低い極性溶媒の共存下において、珪素アルコキシドを加水分解することにより、ゾル-ゲル転移とスピノ-ダル分解を並行して誘起し、溶媒置換操作に好適なマイクロメートル領域の絡み合い多孔構造を持つシリカゲルを得た。所定の組成においてゾル-ゲル反応および熟成後、湿潤状態のゲルを様々なpHを持つ水溶液に浸漬して溶媒置換を行った。まず、十分平衡な構造が得られる浸漬時間を決定し、続いて適切な時間間隔毎に、溶媒置換中のゲルのX線小角散乱を湿潤状態のままで測定した。散乱データをPorodプロットし、散乱プロファイルの傾きからフラクタル構造の変化を見積もったところ、弱酸性および中性条件では検出し得るほどの構造変化は認められなかった。塩基性条件下での置換においては、湿潤状態では次数約2の体積フラクタル的構造であったものが、浸漬後数時間で、細かい構造から順に表面フラクタルの構造へと変化してゆくことが明らかになった。浸潤状態でのフラクタル次元は、出発組成や共存高分子の種類によって差異が認められたが、塩基性溶液中での溶媒置換によってほぼ同等のメゾ細孔構造を得ることが可能であった。最終状態の細孔構造は、置換溶媒のpHと置換時の温度によって一義的に決まるが、置換溶媒の量が少ない場合には、最終構造に至るまでの構造変化は緩慢に起こることが明らかになった。これは構造変化の律速段階が溶出過程であることを示唆していた。
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