1.硝酸ジルコニルの加水分解による針状のジルコニア水和物の生成における溶液温度、硫酸ナトリウムなどの合成条件の影響について検討した。 (1)硝酸ジルコニル0.1Mと所定量の硫酸ナトリウムを硝酸水溶液に溶解し、30〜90℃で合成を行なった。硫酸ナトリウムを添加しない場合は90℃でもわずかに白濁しただけであった。硫酸ナトリウム濃度0.1Mでは30℃で針状の粒子が生成したが、温度が高くなるにつれて球状の粒子が混在し始め、90℃では球状粒子のみが生成した。0.15〜0.2Mでは30〜70℃で針状粒子のみが生成し、温度が高くなるにつれて粒子径が小さくなった。0.4Mでは沈殿は析出しなかった。針状粒子に含まれる硫酸根の量は原料濃度比(Na_2SO_4/ZrO(NO_3)_2=1〜2(モル))に関係なくほぼ一定(SO_3/ZrO_2=0.7(モル))だった。 X線回折測定より針状粒子は結晶性の物質であったが、同定はできなかった。 (2)硫酸のかわりにシュウ酸を添加して合成したところ溶液温度30℃ですぐに白濁しゲル状の沈殿物が生成した。 2.尿素を用いる均一沈殿法により、合成したジルコニア水和物粒子にイットリアを被覆し、被覆粒子を800℃で熱処理して針状のイットリア安定化ジルコニア粒子を得た。
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