ポリエーテルは高分子化学、材料科学の分野において重要な高分子の1つである。その代表的な合成法は環状エーテルの開環重合、Williamsonエーテル合成、フェノール類の酸化重合等が知られているが、これらの重合に用いられる原料(モノマー)の種類はかなり限定されている。本研究では側鎖官能基を有するポリエーテルの新規合成法としてジアルデヒド、ジオールジシリルエーテルおよび有機ケイ素求核剤の3成分系による重合を検討した。 1.アリルシランを用いた側鎖アリル基を有するポリエーテルの合成 ジアルデヒド、ジオールジシリルエーテル、およびアリルシランを塩化メチレン中、触媒量の過塩素酸トリチル存在下反応させた結果、主鎖はジアルデヒドとジオールジシリルエーテル由来のポリエーテル構造および側鎖はアリルシラン由来のアリル基を有する高分子が得られた。電子求引基を有するジアルデヒドを用いたとき、最も分子量の高いポリエーテルが得られた(Mn=22000)。この高分子は反応性基であるアリル基を有するため架橋反応も検討した。その結果、80℃bulk条件下でも一部架橋するが、AIBN存在下エタンジチオールとの反応では定量的に架橋ポリマーが生成した。 2.トリメチルシアニドを用いた側鎖シアノ基を有するポリエーテルの合成 アリルシランの代わりにトリメチルシアニドを用いて1.と同様に反応させた結果、主鎖はジアルデヒドとジオールジシリルエーテル由来のポリエーテル構造および側鎖はトリメチルシアニド由来のシアノ基を有する高分子が得られた。
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