本研究では宇宙プラットホームとして用いられるような大型宇宙飛翔体周辺のプラズマ及び中性ガス環境をシミュレーションによって研究する際必要となる計算機コードを開発することを目的とした。具体的には平成5年度に作成した飛翔体周り中性ガスの動きを取り扱うためのモンテカルロ法とプラズマの空間電荷にself-consistentな動きを取り扱うためのParticle in Cell(PIC)法を組み合わせた2次元粒子コードを基礎とし、飛翔体速度ベクトルと地磁気ベクトルのなす角度へのシース形状の依存性を調べるための3次元コードを作成することを目的としている。 本来このような目的の3次元コードは大容量メモリを備えたスーパーコンピュータなどで行うべきであるが、開発初期においては扱いの容易なUNIXワークステーションの方が適している。そのため研究では主なUNIXワークステーションを使い、計算コードはフォートランで書いた。粒子コードは実際の荷電粒子を数百から数万個束ねた超粒子の運動を空間電荷と自己無頓着(Self-Consitent)な電磁場中で追うものである。計算スキームとしては陽解法を用い、相似則の導入によって計算に必要な粒子数が典型的な例で100万個程度になるようにした。これにより小型のワークステーションでも取敢ずは実行可能なコードを作成できた。コードの検証のために、1辺の長さ10cmの立方体が正負10ボルトの電位を持って電離層中を磁場に垂直に秒速8km/secで飛行する場合に立方体を取り囲むシースの3次元形状を計算した。
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