昨年度(平成5年度)の科学研究費補助金奨励研究(A)を用いて、実験装置及び計測系を完成させ、非可燃性気体を用いてラム加速器の性能試験を行った。入射装置による飛翔体の発射速度は1km/secを超えており、ラム燃焼を得るには充分の速さと言える。しかし、可燃性混合気に打ち込む際に、まだ大きな問題点が現れた。ラム管内においては、モデルより先に先行衝撃波が走っているものである。これは、可燃性気体に打ち込むとき、この先行衝撃波によって気体が着火し、モデルの前方で燃焼することになってしまう。従って、ラム加速は得られない。この先行衝撃波の形成の原因としては、モデルの駆動気体のヘリウムがモデル周りから漏洩し、モデルの到達より先に発射管とラム管間の隔膜を破り、そのまま先行衝撃波を形成して伝わって行くと考えられる。現在の装置では、このヘリウムを逃がすためにダンプタンクを発射管とラム管の間に設置しているが、タンクの容積及びダンプ孔の総面積が小さいため、ヘリウムを充分に逃がすことが出来ないと思われる。そのため、本年度の補助金を用いて、新たなダンプタンクを増設し、ダンプ孔の総面積を増やした。これにより、先行衝撃波を弱めることができたが、まだ完全になくしていない。現段階では、新たな対策として、サボ(飛翔体後方に置かれる発射時推力を受け止めるプレートのこと)に孔を開け、先行衝撃波を駆動する気体を逃がして、先行衝撃波をなくすことを計画している。 また、飛翔体周りの流れ場の可視化をするために、シュリーレン撮影系を設置し、圧力センサー、或は磁気センサーをトリガーとするタイミング回路を作成し、瞬間写真の撮影を成功させた。このための磁気センサーも作成した。
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