研究概要 |
金星は大気の97%が二酸化炭素であり、地表では750K以上90気圧という過酷な環境となっている。この厳しい地表環境において探査機を長時間動作させるためには高圧に耐える構造にし、探査機に浸入してくる熱を防御しなければならない。この研究の目的は、気球システムによる金星探査機を考え、金星自身の大気の二酸化炭素を液化して金星表面へ携帯して下降し、探査機の熱浸入に対しては、液化二酸化炭素を気化してその蒸発熱を利用し、探査機を冷却する事を検討した。 ・金星探査法のシステム検討 金星探査機は金星に到着すると金星周回軌道に入るオ-ビターと金星に突入するエントリ-プローブの2つに分かれる。エントリ-プローブは気球を展開(アンモニア使用)、高度55km付近に停留し、その高度において金星大気を液化する。液化した金星大気(液体二酸化炭素)を気球探査機内に保存し浮力を落とすことによって(気球内アンモニアを液化)高度を下げていく。高度の降下とともに大気の温度は上昇するのでその熱より探査機を守るため液体二酸化炭素を気化させ、その蒸発潜熱を用いて冷却する。地表に着地した探査機は観測やサンプルを収集し浮力を上げ再び高度55km付近に上昇する。この一連の動作を繰り返し行い広範囲にわたって探査する具体的なシステム検討を行い、検討書にまとめた。 ・二酸化炭素液化実験 実際に二酸化炭素を液化する液化機を製作し(冷媒R22使用)、液化実験を行った。今回の実験では二酸化炭素のボンベから減圧弁によって約12気圧から15気圧の間で圧力を変動させ、液化の効率と浸入熱を測定した。その・この研究で明らかにされた今後の課題 (1)二酸化炭素を圧縮するコンプレッサー (2)液体二酸化炭素の蒸発潜熱取得法とその実験 (3)硫酸の雲の対策法 (4)サンプルの収集法(マニピュレーター,バキューム法) (5)気球容積の増減法(アンモニアの利用)
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