研究概要 |
在来矮性品種「秋吉白大豆」の矮性遺伝子の同定を行うため,1991年に「矢作(矮性型)」と「PI227224」を検定系統として相反交雑を行い,F_1世代を展開した。その結果,いずれの組合せにおいても,F_1個体がすべてZigzag形質をもつ矮性型を示したことから,「秋吉白大豆」は既知の「矢作(矮性型)」や「PI227224」の矮性遺伝子と同じ1対の劣性遺伝子に支配された矮性品種であることが明らかとなった。「秋吉白大豆」は矮性形質のなかでもZigzag形質を持つ矮性遺伝子に支配された品種であり,節間がただ短いだけでなく,主茎の特徴的な伸長経過から主茎長が節間長の和より小さくなり,分枝の発生も多いことが再確認された。さらに,両品種と比較して主茎節数が明らかに多く,早播や密植栽培による栄養生長量の確保が容易であること,また,開花期が生態型IVcの秋ダイズとほぼ同時期であることから秋ダイズ品種の育成における矮性遺伝子の供給母本としてはかなり有望な品種であると考えられる。 一方,異なる矮性遺伝子に支配された「ヒョウガ矮性系統」と「PI227224」を1986年に相反交雑を行い,得られたF_2世代から2対の劣性矮性遺伝子を持つ超矮性系統を選抜した。その後,実用形質を固定するため世代を進めてきたが,この超矮性系統のなかで,交雑第5世代には矮性遺伝子の多面発現と考えられる葉柄の矮化現象がみられる系統があり,その系統の第7世代のなかには全ての個体の葉柄が矮化する系統をみいだすことができた。今後,遺伝的背景の明らかな系統との交雑実験により葉柄の矮化について詳細に解析していく予定である。
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