研究概要 |
培地中の高濃度のカルシウムによって生育が阻害される大腸菌変異株CS2-29と、高温での増殖が培地中のカルシウムに依存的になる変異株SH3450の解析を行った。CS2-29株のカルシウム感受性にかかわる変異を相補する遺伝子を、コスミドベクターを用いてクローン化した。得られたクローンはKoharaの大腸菌染色体整列クローンに対するハイブリダイゼーションによって大腸菌染色体地図上48分にマップされた。CS2-29株ではカルシウム処理により染色体DNAの断片化が引き起こされることを見い出した。同様に、SH3450株のカルシウム依存的増殖にかかわる遺伝子についてコスミドクローンを分離した。得られたクローンは90分にマップされた。サブクローニングの結果、RNAポリメラーゼβサブユニットをコードするrpoB遺伝子により温度感受性が回復されることがわかった。しかし、P1マッピングによりSH3450株はrpoB変異の他にもう一つの変異をもっていることが明らかとなった。 過剰発現により細胞内に細胞骨格様構造体を形成するcafA遺伝子の破壊株cafA::cat株において、分子量100Kの蛋白質が過剰発現していることを見い出した。100K蛋白質のN末のアミノ酸配列を決定したところ,AdhE(アルコールデヒドロゲナーゼ)であることが明らかとなった。 変異により低温で染色体分配異常を引き起こすpcsA遺伝子を、Koharaの大腸菌染色体整列クローンよりクローン化した。pcsA遺伝子はSOS遺伝子の一つであるdinD遺伝子と同一であることが明らかとなった(J.Bacteriol.,177:156-165,1995)。
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