ラットリソリーム画分を用いてプロディギオシン25-Cの液胞型H^+-ATPaseおけるATPase活性およびプロトンポンプ活性に対する影響を検討したところ、プロディギオシン25-CはATPase活性には1000nMまで影響しなかったが、プロトンポンプ活性はIC_<50>約30nMで阻害した。したがってプロディギオシン25-Cは液胞型H^+-ATPaseの脱共役因子であることが明らかとなった。プロディギオシン25-CはコンカナマイシンAと同様に細胞レベルで細胞傷害性T細胞のキラー活性を阻害した。またアロジェネイックな腫瘍細胞を免役したマウスに投与した場合にも脾臓細胞中に誘導されたキラー活性を抑制した。この時、脾臓細胞中のポピュレーションの変化をフローサイトメーターで解析したところ、CD4およびB220を発現している細胞群には影響せず、CD8を発現している細胞のみがプロディオギオシン25-C投与により顕著に減少していることが明らかとなった。またコンカナマイシンBにもほぼ同様な作用が認められたことから、オルガネラの酸性化阻害が細胞傷害性T細胞のポピュレーションを選択的に減少させキラー活性の低下をもたらしていると考えられる。さらに細胞傷害性T細胞クローンOE4を用いて細胞傷害顆粒内の酸性化をpHプローブであるDAMPおよび免疫電子顕微鏡の手法により観察した。OE4に見られる細胞傷害顆粒はコア部分と小ベシクルが詰まった周辺部分より構成されているが、その周辺部分のみがDAMPにより強く染色され、酸性pHになっているのが認められた。一方、コンカナマイシンA処理によりDAMPによる標識が減少し、ほぼ中性付近までpHが上昇していることが観察された。
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