研究概要 |
中等度絶対好熱菌Bacillus thermoglucosidasius KP1006 由来の分子シャペロン遺伝子groES-groELを用いた検討は、遺伝子単離の確認から行った。GroELのC-末端付近に相補する24-merのリバースプライマーと、C-末端上流500-base付近に相補する32-merのプライマーを用いたPCR法によるスクリーニングで得られた3.1-kbのDNA断片は、DNA塩基配列決定の結果、C-末端から1.3-kbを含んでいるが、groELのN-末端側200-baseとオペロンでつながれているgroESを欠いたものであることが判明した。そこで既に単離された断片をプローブにして、再び、染色体DNAをEcoRIで消化して作製したライブラリーから、残りの断片の取得を試み、残りの断片を取得することが出来た。すでにDNA塩基配列を決定した領域については、これまで報告されている大腸菌、枯草菌のものと相同性が高く、特に枯草菌そして、同じバチラス属好熱菌のBacillus stearothermophilusのものとも高い相同性を示した。アミノ酸レベルでは、第3文字の変化が多いために、DNAレベルよりさらに相同性が高いと予測される。引き続き、本遺伝子の大腸菌中における発現と、タンパクの単離を検討中である。また、変性の不可逆的失活に対する保護効果を調べるために、B.cereus ATCC7064のオリゴ-1,6-グルコシダーゼの変性に関する予備実験を行い、GroEL,GroESが共存する条件での効果を識別することが可能になった。さらに、好熱菌のペプチジルプロリルイソメラーゼ(PPI)については、スクリーニングにより得られた4株のうち、より強い活性を示す2株について活性の局在性を調べた。その結果、これまで研究されている大腸菌、酵母などのものと異なり、細胞膜、または、20,000xg画分に局在する新しいタイプのPPIであることが判った。今後、既存の免疫抑制剤との気質結合などを調べ、誘導体の可能性を追究する計画である。
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