デオキシベンゾイン2とイソキノリン3との縮合を鍵反応とするラメラリンD(1)の全合成を計画した。まずは、この際の重要な中間体であるデオキシベンゾイン2の合成から始めた。イソバニリンを原料とし、ベンジル化、Baeyer-Villiger酸化、加水分解、Duff法によるフォルミル化、及びメトキシメチル化により4-benzyloxy-5-methoxy-2-methoxymethoxybenzaldehydeとした。さらにこのものトリメチルシリルシアノヒドリンをLDA存在下、別途バニリンから3工程で調整した4-benzyloxy-3-methoxybenzylbromideと処理しアルキル化を行った後、脱トリメチルシリルシアノ化を行いデオキシベンゾイン2を合成した。なお、イソバニリンからの通算収率は30%であった。現在、この中間体までしか合成は完結していないが。その後の反応の条件をモデル化合物を用い検討した。まず、2と3の縮合条件をアセトフェノンと無置換イソキノリンを用い検討した。その結果、ケトンをシリルエノールエーテル化し、縮合試薬としてクロロギ酸エチル等の酸クロリドを用いることにより良好な収率で縮合物が得られることを見いだした。この方法を合成したデオキシベンゾイン2とイソキノリン3の縮合に応用することにより4が得られると考えられる。さらに、市販品が入手可能なパバベリンとmethyl2-methoxymethoxybenzoateとの縮合により得られる5を4のアナログとして用い、4からラメラリンDの前駆体6への変換法を検討した。5のプロモ酢酸エチルとの4級アンモニウム塩をクロロフォルム中トリエチルアミンと処理し分子内で脱水縮合を行うことにより、6のアナログである7を得ることが出来た。 期間中にラメラリンDを合成することはできなかったが、合成法はほぼ確立できたので、近い将来に全合成が完結するものと思われる。
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