研究課題/領域番号 |
06760124
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学・製品科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 和生 京都大学, 農学部, 助手 (80213148)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | GLUT / skeletal muscle / glucose transporter |
研究概要 |
骨格筋での運動によるGlut-4動員をシミュレートし得る培養系の開発 細胞へのグルコースの取り込みはグルコース輸送担体が行う。骨格筋でのグルコース輸送担体は大部分がインスリンによって細胞内プールから細胞膜表面に移動し、機能を果たすGLUT-4と呼ばれるタイプのものである。同じGLUT-4が発現している脂肪組織と異なり、骨格筋ではインスリンが存在しなくても運動による筋収縮でGLUT-4が細胞表面に移動し、糖取込みを増大させることが知られている。これは糖尿病の運動による改善を説明できる重要な知見であり、そのメカニズムの解明が待たれている。これらの機構を明らかにするためin vitroの系の確立を試みた。 培養ディッシュ内にシリコン樹脂を固化させ、その上に生体適合性の膜を敷き、この膜上で細胞を培養する方法を取った。膜はピンで固定するが、成長した組織も同時に固定される。最終的に組織は膜から遊離し、ピンだけで固定された状態になる。この状態は運動を阻害する要因が少なく、骨格筋の培養に適している。このディッシュに電極を設置し、電気刺激によって任意の収縮を引き起こすことが可能な系を開発した。当初、培養筋肉細胞を用いて実験したが、形態・運動性などから判断して分化が進んでいないこと、およびがGLUT-4 mRNAを発現していない事がわかり、新生児骨格筋より調製した細胞を用いて初代培養を行い、同様にGLUT-4 mRNAの発現量を測定している。 少量の細胞でGlut-4のトランスロケーションを定量する方法の開発 培養細胞系では十分な分化度が得られなかったため、成体筋肉をモデルとして定量法を検討した。これまではGLUTの定量法としてバインディングアッセイを用いていたため、スタートの筋肉として成体ラットの大腿四頭筋と腓腹筋計4個、約4-6gを必要としていた。この定量法をウェスタン解析にした結果、一回の解析に必要な膜タンパク質量が10μgで程度で済むため、スタートの筋肉量は10mgあれば良い。またGLUT-4の細胞膜表面への移動を見るためには、細胞内プールであるミクロソーム画分と形質膜画分を分離する目的でスクロース密度勾配遠心を行わねばならない。数gの筋肉を用いる場合スクロース密度勾配総量として60mlとなるが、10mg程度の筋肉組織であれば、この量の1/10程度までスケールダウンしても2つの画分を分離できることが可能であった。以上のことから、湿組織として数ミリグラムが得られる培養筋肉細胞を用いた実験でもGLUT-4の膜表面への移動が定量可能だと考えられた。
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