本研究は、森林管理が地域で集団的に進んでいる事例を分析することにより、管理組織の一つとして措定される森林組合等の可能性と条件を探ろうとしたものである。 第一に、森林組合を中心にした森林管理組織を検討するために、大都市周辺の都道府県の林務担当課で森林組合による森林管理の事例を調査した。しかし、大都市周辺の森林組合において森林の管理を集団的に行っている事例はなく、森林公園の管理を一部担っている事例が数件見られただけであった。そこで、森林組合が管理を任される事業として考えられる森林信託事業および森林経営受託事業に注目した。林野庁森林組合課で、この2つの事業を実施している全国の森林組合を拾い出したところ、森林信託事業を実施している森林組合は2組合、経営受託事業を実施している組合は19組合にすぎないことがわかった。この中から、森林信託事業を実施している京都府伊根町森林組合、森林経営受託事業を実施している長野県小県郡内の森林組合を事例とし、地域林業および森林組合の事業変遷、事業契約の経緯と背景について調査した。 第二に、森林の環境財としての機能を重視されていることから、森林のレクリエーション利用を中心にした森林管理組織を検討した。北海道標茶町を事例対象にして、地域林業および森林のレクリエーション利用の実態について調査を実施した。
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